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2015.05.03

平均賃金センサスの認定に関する裁判例のご紹介 東京地裁平成26年11月27日判決

東京地裁平成26年11月27日判決 -自保ジャーナル1940号124頁

6歳のころに受傷し、22歳のころに症状固定となり、自賠責併合7級の後遺障害を残した25歳女性の事案において、この裁判例では、後遺障害逸失利益における基礎収入について

「現在大学薬学部6年生であり、平成27年4月に大学を卒業して製薬会社に就業予定であること、賃金センサス平成24年女性・薬剤師・全年齢の平均収入が508万9400円であることからすれば、原告は、就業以降は、将来にわたり、500万円程度の収入を得る蓋然性がある」

と述べたうえで、

「実学的学部において6年間の専門教育を受け、当該専門分野の会社に就業予定であることからすると、全大学卒の女性の平均よりは高額の収入を得られる蓋然性を有している」

として女性・薬剤師・全年齢平均の賃金センサスを基礎収入として認定しました。

若年者が後遺障害を残した事案においては、平均賃金センサスのうちどの統計を使用するのか、裁判で加害者側と意見が対立することがよくあります。その事案の個別具体的事情を無視して、漫然と全職業の平均賃金を選択してしまうと、事案によっては被害者の方が損をする可能性があり、この裁判例のように、請求の段階で被害者側が適切な平均賃金センサスを選択し、かつ、それに添った主張立証活動に力を尽くさなければ、適切な損害賠償を実現することができないこともあるため、当事務所も含めて、被害者側弁護士はとくに注意が必要です。


2015.03.26

裏付け資料がない休業損害、接骨院の施術費に関する裁判例 平成26年10月23日福岡地裁久留米支部判決

福岡地裁久留米支部平成26年10月23日判決 -自保ジャーナル1937号59頁


この裁判例は、僧侶の休業損害について、御布施などの収入額に関する裏付け資料はないものの、

「御布施の出損者を特定することがプライバシーに関わるという、その収入の性質からすると、やむを得ない面があり、そうした証拠がないこと自体が不自然ということができず、供述等が信用できないとはいえない。しかし、損害の認定に当たっては控え目であるべきであるから、原告の供述等により、6ヶ月間に原告が被った損害を月7万円(合計42万円)と認める」

と判断しました。「損害の認定に当たっては控え目であるべき」という部分に、裁判所の慎重な姿勢がよくあらわれています。

また、この裁判例は、接骨院の施術費について興味深い判断を示しています。判決は、接骨院の施術に症状緩和・軽減の効果があったこと、原告は保険会社担当者から施術のため通院中にも十分に治療をするように言われ、また、保険会社から整骨院に直接施術費が支払われたことを認定したうえで、保険会社の対応について、

「整骨院における相当な施術であれば、これに要した費用の賠償が受けられるものとの期待を原告に抱かせかねないものであり、その結果、施術費の総額も多額に上っており、これが賠償の対象とならないとすると、症状の軽減等に効果のあった施術について原告に多大な出費を強いる反面で、本来予定していた病院での治療を継続していれば、これに要した相応の治療費相当額の損害賠償義務を免れることとなって公平に反する結果となりかねない」

として、症状固定までの施術費を肯定しました。機械的・形式的な判断が少なくない交通事故の判決において、保険会社の対応や公平の観点という視点も考慮に含めて施術費の是非を判断した、少しめずらしい裁判例と感じます。

2015.03.14

家事従事者の休業損害に関する裁判例のご紹介 平成26年9月26日京都地裁判決

京都地裁平成26年9月26日判決 -自保ジャーナル1936号71頁

12級7号の後遺障害を残した58歳女性の家事従事者の休業損害について、京都地方裁判所は「原告の休業損害は、基礎収入額を、平成22年の賃金センサス産業計・企業規模計・女性労働者・学歴計・全年齢平均の345万9400円とし、本件事故(平成22年11月5日)から平成22年12月下旬までと入院期間中(42日)の合計90日については100%、同月下旬から平成23年2月末までの70日については50%、症状固定日(平成24年7月3日)までのその余の447日については14%を喪失したとして算定するのが相当であって、その金額は、177万7847円となる」と判断しました。

家事従事者(主婦)の休業損害については、この裁判例のように、賃金の統計を基礎に割合的・段階的に計算することが多く見られます。とはいえ、その計算式や認容額は担当裁判官や事案によってバラバラで、家事従事者の休業損害の計算基準はあってないような状態ですので、示談交渉でもしばしば相手方保険会社と対立が生じます。

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山本・竹川法律事務所

弁護士 山本  明生

弁護士 竹川   聡

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大阪市中央区北浜2丁目1番3号北浜清友会館ビルディング。北浜駅から徒歩1分、淀屋橋駅から徒歩7分。大阪弁護士会所属。

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