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2015.05.27

TFCC損傷とはどのような傷病・後遺障害か?

  TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)という傷病名をお聞きになったことはありますでしょうか。

 これは一般的に手首の捻挫として片付けられがちなのですが,簡単に言えば,頑固な手首の捻挫,特に手首の小指側の痛みが酷いというものです。

 TFCCは「三角線維軟骨を中心として三角靱帯,橈尺靱帯,尺骨月状骨靱帯,尺骨三角骨靱帯等の周囲の靱帯組織からなる尺側手関節支持の要の線維軟骨靱帯複合体である。」と説明されますが,要するに手首外側の安定性を保っている複合体ということです。


 TFCC損傷は,交通事故により転倒し,その際地面に手を強くついてしまったという様な場合に起こりうる傷病です。


 症状としては,手首を動かす際に痛みが強くなるということが多いです。


 具体的には,タオルを絞る,ドアノブを回す,鍵を開ける等手関節のひねり操作で痛みが出ることが多いようです。

 交通事故の損害賠償と絡めていえば,TFCC損傷が立証出来れば自賠責保険の後遺障害12級の認定が期待できます。


 実際に当事務所の弁護士山本明生が取り扱った事件でも,当初,後遺障害14級が認定されていた案件で,被害者の傷病はTFCC損傷であることを訴え,異議申立をした結果,後遺障害12級が認定された事案があります。


 後遺障害14級と後遺障害12級では損害賠償額が全く異なることから,依頼者は大変喜んでおられました。
 
 交通事故によって手首を捻挫してしまったが,なかなか治らないという様な場合があります。


 その場合の全てという訳ではありませんが,もしかするとTFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)の可能性がありますので,整形外科における受診と精密検査と受けることをお勧め致します。
 

2015.05.25

交通事故の死亡慰謝料はどのような理屈か?

被害者が交通事故により死亡した場合、遺族が慰謝料請求をすることが出来るということは感覚的に分かります。


もっとも、理論的にはどういう理屈で遺族が慰謝料請求をするということになるのでしょうか。

この点、最高裁は、死亡慰謝料について、被害者の死亡によって当然に発生し、これを放棄、免除する等特別の事情が認められない限り、被害者の相続人がこれを相続するとしています。

これを前提にして分析的に考えると「遺族の慰謝料請求=死亡した被害者自身の慰謝料請求+近親者固有の慰謝料請求」になるということですね。

もっとも、被害者の慰謝料請求権については、近親者が受けた精神的苦痛も考慮されており、被害者自身の慰謝料請求権と近親者固有の慰謝料請求権は実質的に重なっている部分があると認められること、近親者固有の慰謝料請求権の行使の有無によって慰謝料額が異なるとするのは妥当でないことから、大阪地裁の運用では、死亡慰謝料については被害者分と近親者分を含んだものとして基準額を決定しています。

参考判例 最判昭和42年11月1日

ある者が他人の故意過失によって財産以外の損害を被った場合には、その者は、財産上の損害を被った場合と同様、損害の発生と同時にその賠償を請求する権利すなわち慰藉料請求権を取得し、右請求権を放棄したものと解しうる特別の事情がないかぎり、これを行使することができ、その損害の賠償を請求する意思を表明するなど格別の行為をすることを必要とするものではない。そして、当該被害者が死亡したときは、その相続人は当然に慰藉料請求権を相続するものと解するのが相当である。けだし、損害賠償請求権発生の時点について、民法は、その損害が財産上のものであるか、財産以外のものであるかによって、別異の取扱いをしていないし、慰藉料請求権が発生する場合における被害法益は当該被害者の一身に専属するものであるけれども、これを侵害したことによって生ずる慰藉料請求権そのものは、財産上の損害賠償請求権と同様、単純な金銭債権であり、相続の対象となりえないものと解すべき法的根拠はなく、民法711条によれば、生命を害された被害者と一定の身分関係にある者は、被害者の取得する慰藉料請求権とは別に、固有の慰藉料請求権を取得しうるが、この両者の請求権は被害法益を異にし、併存しうるものであり、かつ、被害者の相続人は、必ずしも、同条の規定により慰藉料請求権を取得しうるものとは限らないのであるから、同条があるからといつて、慰藉料請求権が相続の対象となりえないものと解すべきではないからである。

2015.05.23

介護費用に関する裁判例のご紹介 名古屋地裁平成26年12月26日判決

 名古屋地裁平成26年12月26日判決 -自保ジャーナル1941号42頁

交通事故による脳外傷により神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するものとして自賠責が1級1号に該当すると判断した事案において、この裁判例では、



『原告一郎は、特別養護老人ホームに入所し、要介護3の認定を受けており、E施設は、終身にわたる入所が可能としている。原告一郎を自宅で介護したいという原告三郎らの心情は理解できるものの、原告花子は高齢で原告三郎はフルタイムで働いており、原告一郎の後遺障害の内容や程度、年齢、認知症の進行状況等に照らしても、在宅介護には相当な困難を伴うものと思われる。』


と被害者側ご家族の心情に配慮したうえで、


『しかるに、原告三郎は、一時期、自宅の改修工事や新築工事を計画するなどしてはいたものの、現在では立ち消えとなっており、具体的な同居の目途は立っていないし、施設入所が長期に及ぶなか、具体的な招来の介護計画を立て、入所施設や医師らと連携を取りながら在宅介護に向けた取組を行い、実際にも在宅介護の実績を積み上げるといったことが一切行われてもいない。』


などを理由に、在宅介護ではなく、施設入所を前提に介護費を認めました。


介護費用の計算においては、市が負担した介護保険給付額や施設代の金額、被害者負担額、被害者の平均余命のライプニッツ係数を計算式に組み入れるなど、こみ入ったものになっており、介護費用の損害計算については、当事務所としても注意が必要だとあらためて思いを強くしました。

2015.05.22

高次脳機能障害に関する裁判例のご紹介 東京地裁平成26年12月25日判決

 東京地裁平成26年12月25日判決 -自保ジャーナル1941号28頁

被害者の方が高次脳機能障害等で併合5級の後遺障害を残したとして損害賠償を請求した事案において、この裁判例は次のように判断しました。判断にあたっては、自賠責が非該当と判断したこと、事故後に意識喪失がなかった事実や約2年強にわたり事故による傷病の治療を受けなかった期間があった事実なども影響したのではないかと思われます。

【判決の抜粋】

原告に認められた各種神経症状のうち、聴力障害については、機能性難聴とされており心因性のものであることが疑われ、眼科検査の結果も視野欠損は認められておらず、右の視力低下の原因は白内障の影響があるとされている。また、丙川医師が原告を診察した平成21年4月10日より後、①原告が、同年7月29日から31日までF病院に入院した際、聴力、嗅覚及び味覚については正常と判断され、②原告がD大学病院に入院中の同年9月26日、同病院医師は、原告について右不全麻痺や嚥下障害の症状はないとしており、③平成24年4月24日に同病院を受診した際、同病院医師は、高次脳機能障害の検査は不要と判断している。そうすると、原告に、丙川医師が高次脳機能障害と診断した症状が存在していると認めることは困難である。


(略)

以上に加え、平成17年4月5日の頭部CT検査及び同年6月17日の頭部MRI検査の結果がいずれも異常なしとの所見であったことも併せ考慮すると、本件事故により原告が軽度外傷性脳損傷に罹患したとは認められず、かつ、原告に、本件事故を契機として各種の高次脳機能障や身体性機能障害が生じたとは認められないというべきである。

2015.05.21

後遺障害・高次脳機能障害に関する裁判例のご紹介 -東京高裁平成27年1月21日判決

 東京高裁平成27年1月21日判決 -自保ジャーナル1941号5頁

交通事故事案の中には、被害者の方に多岐にわたる症状が生じているのに、症状の原因が不明とされたり、あるいは、原因とされる傷病がいまだ未解明の傷病だったりする事案が少なからず存在します。そのような類型の事案は、被害者側の弁護士にとって、被害者救済の必要性が高い一方で、訴訟でかなりの苦戦を強いられることが多く、苦労が少なくありません。


今回ご紹介する裁判例は、被害者の方が3級3号高次脳機能障害等の後遺障害を残したとして1億円強の損害賠償を請求した事案なのですが、判決のいち部分に、原因不明・未解明の傷病の事案に対する裁判所の考えがよくあらわれています。

【判決の抜粋】

訴訟上の因果関係の立証は、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。


しかし、前記のとおり、一般に線維筋痛症自体の発生の原因は未だ特定されておらず、疼痛の発症の要因に限ってみても、必ずしも外傷等の外的要因だけでなく、種々の事情による心因性の要因が含まれることからすれば、控訴人において発症しているとされる線維筋痛症の原因もまた未だ特定できていないものと言わざるを得ない。


(略)


前記のとおり、控訴人が本件事故によってその身体に受けた衝撃の程度が比較的軽いものであったと推測されることからすれば、本件事故が線維筋痛症による疼痛の発症の要因のなかで強いものであったとは考え難いところであるし、線維筋痛症による疼痛の発症の要因に本件事故のほかにも種々のものが考えられるのであるから、訴訟上の因果関係の立証の問題として見る限り、本件事故が控訴人の線維筋痛症を発症させたとの関係を是認しうる高度の蓋然性を認めることは困難である。


(略)


控訴人の後遺障害の程度は、上記症状を裏付ける他覚的所見が認められないことからして、後遺障害等級14級9号の「局部に神経症状を残すもの」に該当するにとどまるというほかない。

2015.05.19

交通死亡事故の死亡慰謝料はどのような事情があると増額されるか?

  報道によれば,平成27年5月11日未明,大阪市中央区西心斎橋のアメリカ村の一角で,自転車に乗っていた大阪市在住の女性1人が外傷性くも膜下出血で死亡,もう1人が左腕骨折の重症を負ったという交通事故がありました。

 大阪府警南署は同日午後,自動車運転処罰法違反(過失致死傷)と道交法違反(酒気帯び運転)容疑で,加害者を逮捕したとのことです。
 加害者は,近くの飲食店で飲酒した後,帰宅するために車を運転したそうです。
 
 飲酒運転が厳罰化されたことから,以前に比べれば違反者数は減少しているとはいえ,まだまだ飲酒運転がらみの交通事故は後を絶ちません。
 判断能力が落ちた状態での運転が非常に危険であることはいうまでもなく,被害者の方は本当に無念だと思います。
 
 このような飲酒運転による死亡交通事故の場合,加害者に請求できる慰謝料が一般より増額される可能性があります。
 すなわち,大阪地裁の運用は,死亡慰謝料の基準について一家の支柱で2800万円,その他で2000万円~2500万円とされていますが,飲酒運転,無免許運転,著しい速度違反等加害者の悪性が強い場合には慰謝料の増額が考慮されるとされています。
 これらの場合には,被害者や遺族の受けた精神的苦痛は通常よりも大きなものであると考えられるからです。
 

2015.05.05

脊髄損傷治療開発支援のチャリティランに参加しました

脊髄損傷治療開発支援のチャリティランに参加しました。 

世界33か国35地域で同時刻にスタート、参加料が脊髄損傷の治療研究にあてられるというマラソンイベントで、日本では今大会が初開催でした。マラソンといっても決められた距離を走るのではなく、いわば鬼ごっこ方式で、鬼役の「キャッチカー」に追い抜かれたらそこでマラソン終了、というルール。

当事務所から参加した竹川聡は12キロメートルを少し超えた地点でキャッチカーに追い抜かれて、そこで終了でした。

若い方がたくさん参加されていて、賑やかで明るい大会でした。夜遅いにもかかわらず沿道には大勢の応援の方がいて、ランナーの中には芸人さんやタレントさんもいて、走っていて楽しかったです。安田大サーカスのクロちゃんは走りながらたくさんの人にファンサービスをしていて、人柄のよさを感じました。

楽しく走ると同時に、脊髄損傷で苦しんでおられるご依頼者の方の顔が何人も浮かび、また、あるご依頼者の方がおっしゃった、「夜寝ていると苦しくて何度も目が覚めて、家族が寝ているから起こさないようにじっとこらえて我慢している。毎晩、窓から少しだけ見える夜空を見ながら我慢して、朝が来るのを待っている。」という言葉を思い出していました。少しでもはやく脊髄損傷が「治らないもの」から「治るもの」になってほしい。そう思うとともに、脊髄損傷の事案を担当する弁護士としての責任の重さをあらためて実感しました。何年たっても、慢心することなく、謙虚に、真摯にひとつひとつの事案と向き合っていきたいと思います。

せっかくなので当日の写真を少しだけご紹介。

会場の滋賀県高島市「今津総合運動公園」近く。のどかでいいところでした。

配布された名前付きゼッケン。

会場を盛り上げるDJさん。若い人がたくさん参加していました。

日本せきずい基金さんのブースも出ていました。

スタートの少し前の様子。スタートするころにはすっかり暗くなっていました。

走りながら撮った写真。光っているのはランナーのみなさん。日本では夜中開催なので、安全防止のためにライトが配布されました。

 

 キャッチカーに追い抜かれた少し後にあった看板。来年はもう少しがんばりたい。

2015.05.03

平均賃金センサスの認定に関する裁判例のご紹介 東京地裁平成26年11月27日判決

東京地裁平成26年11月27日判決 -自保ジャーナル1940号124頁

6歳のころに受傷し、22歳のころに症状固定となり、自賠責併合7級の後遺障害を残した25歳女性の事案において、この裁判例では、後遺障害逸失利益における基礎収入について

「現在大学薬学部6年生であり、平成27年4月に大学を卒業して製薬会社に就業予定であること、賃金センサス平成24年女性・薬剤師・全年齢の平均収入が508万9400円であることからすれば、原告は、就業以降は、将来にわたり、500万円程度の収入を得る蓋然性がある」

と述べたうえで、

「実学的学部において6年間の専門教育を受け、当該専門分野の会社に就業予定であることからすると、全大学卒の女性の平均よりは高額の収入を得られる蓋然性を有している」

として女性・薬剤師・全年齢平均の賃金センサスを基礎収入として認定しました。

若年者が後遺障害を残した事案においては、平均賃金センサスのうちどの統計を使用するのか、裁判で加害者側と意見が対立することがよくあります。その事案の個別具体的事情を無視して、漫然と全職業の平均賃金を選択してしまうと、事案によっては被害者の方が損をする可能性があり、この裁判例のように、請求の段階で被害者側が適切な平均賃金センサスを選択し、かつ、それに添った主張立証活動に力を尽くさなければ、適切な損害賠償を実現することができないこともあるため、当事務所も含めて、被害者側弁護士はとくに注意が必要です。


2015.05.02

脊髄損傷に関する裁判例のご紹介 東京地裁平成26年12月24日判決

東京地裁平成26年12月24日判決 -自保ジャーナル1940号46頁

50代男性歯科開業医が頸髄損傷等から自賠責3級3号の後遺障害を残した事案について、東京地裁は、

「原告の妻による介助は、階段昇降時の補助、排便時や入浴時の補助等、日常生活の一部に限定されたものと認められるから、自宅付添費の日額は、被告らが自認する3000円の限度で認めるのが相当である」

として日額3000円の退院後の自宅付添費を認定し、また、症状固定後の付添費用については、

「症状固定後についても、平均余命に至るまで、原告の妻による自宅付添いが一部必要であることは認めているところ、原告については、付添いの負担が症状固定の前後で変わるものではないといえるから、自宅付添費の日額は、3000円の限度で認めるのが相当である。」

と認定しました。ほかの事案では、症状固定後の自宅付添費について、とくに理由も書かれないまま、あっさりと症状固定前より減額した金額が認定されるケースが少なからずあるのですが、この裁判例では、症状固定の前後で同じ金額の自宅付添費が認容されています。

また、この裁判例では、交通事故の加害者側が、原告の逸失利益のうち労働能力喪失率が100%であることと労働能力喪失期間が15年間であることをとくに争わなかったようなのですが、このような加害者側の対応も注目に値する事案だと感じます。


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山本・竹川法律事務所

弁護士 山本  明生

弁護士 竹川   聡

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☎06(4706)2345

大阪市中央区北浜2丁目1番3号北浜清友会館ビルディング。北浜駅から徒歩1分、淀屋橋駅から徒歩7分。大阪弁護士会所属。

当事務所HP http://ytlo.jp/