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2015.04.10

被害者死亡の場合における逸失利益

 逸失利益とは、交通事故に遭わなければ被害者が得たであろう経済的利益を失ったことによる損害をいいます。
 具体的に言えば、被害者が交通事故に遭い死亡してしまった場合、被害者はその事故に遭わなければ相当期間生存し、仕事を継続していたことが予想され、その仕事をして得られたであろう将来の経済的利益ということです。

 逸失利益は、基礎収入(年収)から被害者本人の生活費として一定割合を控除し(生活費控除)、これに就労可能年数に応じたライプニッツ係数を乗じて算定します。
 なぜ生活費控除をするのかというと、将来得られたであろう収入においては被害者の生活費も含まれているところ、被害者が生きていればその生活費の支出が必要であるのに対し、被害者死亡の場合にはその支出を免れるので基礎とする所得額から生活費として一定割合を控除するということです。
 なお、生活費控除率については、原則として一家の支柱及び女性は30~40%、その他は50%となっています(但し、大阪地裁の運用)。

 さて、上記のような逸失利益ですが、被害者が年金収入しかない場合でも逸失利益が認められるのでしょうか。
 まず、老齢基礎年金については、逸失利益が認められるとされています(最判平成5年9月21日)。
 老齢基礎年金は受給権者に対して損失補償ないし生活保障を与えることを目的とするとともに、その者の収入に生計を依存する家族に対しても同一の機能を営むものと認められるということが理由とされています。
 また、老齢厚生年金についても逸失利益が認められるとするのが実務です。
 なお、年金収入者の逸失利益に関しては、年金の性格からして、収入に占める生活費の割合が高いと考えられることから、生活費控除率を通常より高くすることが多いです。

 これに対し、遺族基礎年金、遺族厚生年金については、逸失利益が認められないとされています(遺族厚生年金について最判平成12年11月14日)。
 いわゆる遺族年金については、もっぱら受給権者自身の生計の維持を目的とした給付という性格を有し、受給権者自身が保険料を拠出しておらず給付と保険料との牽連性が間接的であって社会保障的性格が強いこと等が理由とされています。

参考判例 最判平成12年11月14日
遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者が死亡した場合に、その遺族のうち一定の者に支給される(厚生年金保険法五八条以下)ものであるところ、その受給権者が被保険者又は被保険者であった者の死亡当時その者によって生計を維持した者に限られており、妻以外の受給権者については一定の年齢や障害の状態にあることなどが必要とされていること、受給権者の婚姻、養子縁組といった一般的に生活状況の変更を生ずることが予想される事由の発生により受給権が消滅するとされていることなどからすると、これは、専ら受給権者自身の生計の維持を目的とした給付という性格を有するものと解される。また、右年金は、受給権者自身が保険料を拠出しておらず、給付と保険料とのけん連性が間接的であるところからして、社会保障的性格の強い給付ということができる。加えて、右年金は、受給権者の婚姻、養子縁組など本人の意思により決定し得る事由により受給権が消滅するとされていて、その存続が必ずしも確実なものということもできない。これらの点にかんがみると、遺族厚生年金は、受給権者自身の生存中その生活を安定させる必要を考慮して支給するものであるから、他人の不法行為により死亡した者が生存していたならば将来受給し得たであろう右年金は、右不法行為による損害としての逸失利益には当たらないと解するのが相当である。

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山本・竹川法律事務所

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