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2015.03.26

高次脳機能障害に関する裁判例のご紹介 平成26年11月27日東京地裁判決 

平成26年11月27日東京地裁判決 -自保ジャーナル1937号1頁

高次脳機能障害に関して、重要な裁判例が出ました。

高次脳機能障害及び左不全片麻痺等で自賠責2級1号後遺障害を残す72歳男子原告の将来介護費用について、この裁判例は、介護施設退所後からの2年間の将来介護費用は、

「介護保険サービスによる介護給付相当額及び自己負担額と、それ以外の時間における原告花子(妻)ら近親者の介護による介護費用相当額の合計額とするのが相当である」

として、介護保険の自己負担額に加え、近親者の介護費用として、介護保険サービスを利用する週3日については日額2000円、介護保険サービスを利用しない週4日については日額6000円を損害として認定しました。

さらに、介護施設退所後から2年以降の将来介護費について、

「平成26年8月以降についても、将来介護費用は、原告一郎が、現在と同様の通所介護、通所リハビリテーション等を利用することを前提として算定するのが相当である」

としたうえで、将来介護費のうち職業介護費用については、町が

「事業者に支払った週3日分の通所介護、通所リハビリテーションは2年間で合計322万3521円であるから、これが事業者に支払われた総費用額の9割であるとみなして、同費用額を推定すると、1年当たり179万0845円となり、週3日(年155日)に換算すると1日当たり1万1553円となる。そうすると、平成26年8月以降の職業介護費は、1日当たり1万2000円と認めるのが相当である。」

としました。また、平成26年8月以降の近親者による介護費用として、前述と同様に、介護保険サービスを利用する週3日については日額2000円、介護保険サービスを利用しない週4日については日額6000円と認定しました。

将来介護費用は重度後遺障害特有の損害費目で、裁判でも相手方保険会社と対立が生ずることが少なくないのですが、この裁判例のように、介護保険の制度についても専門的知識が要求され、計算式もわかりにくい込み入ったものとなっているので注意が必要です。

2015.03.26

裏付け資料がない休業損害、接骨院の施術費に関する裁判例 平成26年10月23日福岡地裁久留米支部判決

福岡地裁久留米支部平成26年10月23日判決 -自保ジャーナル1937号59頁


この裁判例は、僧侶の休業損害について、御布施などの収入額に関する裏付け資料はないものの、

「御布施の出損者を特定することがプライバシーに関わるという、その収入の性質からすると、やむを得ない面があり、そうした証拠がないこと自体が不自然ということができず、供述等が信用できないとはいえない。しかし、損害の認定に当たっては控え目であるべきであるから、原告の供述等により、6ヶ月間に原告が被った損害を月7万円(合計42万円)と認める」

と判断しました。「損害の認定に当たっては控え目であるべき」という部分に、裁判所の慎重な姿勢がよくあらわれています。

また、この裁判例は、接骨院の施術費について興味深い判断を示しています。判決は、接骨院の施術に症状緩和・軽減の効果があったこと、原告は保険会社担当者から施術のため通院中にも十分に治療をするように言われ、また、保険会社から整骨院に直接施術費が支払われたことを認定したうえで、保険会社の対応について、

「整骨院における相当な施術であれば、これに要した費用の賠償が受けられるものとの期待を原告に抱かせかねないものであり、その結果、施術費の総額も多額に上っており、これが賠償の対象とならないとすると、症状の軽減等に効果のあった施術について原告に多大な出費を強いる反面で、本来予定していた病院での治療を継続していれば、これに要した相応の治療費相当額の損害賠償義務を免れることとなって公平に反する結果となりかねない」

として、症状固定までの施術費を肯定しました。機械的・形式的な判断が少なくない交通事故の判決において、保険会社の対応や公平の観点という視点も考慮に含めて施術費の是非を判断した、少しめずらしい裁判例と感じます。

2015.03.19

条例で自転車保険加入を義務付け

兵庫県議会が、平成27年3月18日、自転車の使用者に自転車保険加入を義務付ける条例を可決したそうです。

加害者が自転車の交通事故の多くは、自動車の交通事故と異なり、加害者が保険に加入していないために加害者が賠償金を支払いきれず、被害者が十分な賠償金を手にできないリスクがあるのが難点です。この条例によって自転車の保険加入が促進されれば、加害者が自転車の交通事故の案件であっても、加害者の資力を心配せずに被害者の方が十分な救済を得る可能性が高くなりました。

自転車の交通事故の難点のもう一つは、自賠責保険の後遺障害認定制度を利用できない点です。自動車の交通事故の場合、殆どの事件で自賠責保険の制度を利用して損害保険料率算出機構の後遺障害認定の審査を受けることができ、その認定結果が後の保険会社との示談交渉や裁判において重要な指標となり、迅速な解決に役立っている部分が少なからずあります。ところが、加害者が自転車の場合、自賠責保険の適用がなく、後遺障害の認定制度を利用することができず、後遺障害の有る無しや後遺障害の程度について指標となるべき判断がなく、そのために示談交渉が難航することがあります。事案に応じてはウラワザじみた手を使って、後遺障害の認定審査を受け得る場合もあるのですが、その方法はこの場でご紹介できるような確実性がある手段ではありません。ともかく、今回の兵庫県の条例によって、加害者の資力問題はある程度克服されたものの、自賠責の後遺障害認定を受けることができない、というもう一つの難点については、引き続き今後の課題として残るといえるでしょう。

 

 

2015.03.18

被害者死亡の場合における近親者固有の慰謝料

 被害者が交通事故により死亡した場合、その近親者自身も精神的苦痛を被ることから、被害者の有する慰謝料請求権とは別に近親者固有の慰謝料が認められます。
 もっとも、被害者自身の慰謝料算定においては、近親者が受けた精神的苦痛も考慮されているとして、死亡慰謝料については被害者分と近親者分をまとめて請求することが多いです。
 実際に大阪地裁の運用は、死亡慰謝料の基準について一家の支柱で2800万円、その他で2000万円~2500万円とされていますが、その基準額は本人分及び近親者分を含んだものとされています。
 では、誰が「近親者」として固有の慰謝料を請求することが出来るのでしょうか。
 加害者に対する固有の慰謝料について規定する民法711条は、父母、配偶者、子を規定しているので、それらの者が近親者にあたることは問題ありません。
 それ以外の者であっても、被害者との間に父母、配偶者、子らと実質的に同視しうべき身分関係があり、被害者死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者についても民法711条を類推適用して、固有の慰謝料が認められることになります。

【参考判例 最判昭和49年12月17日】
 「不法行為による生命侵害があつた場合、被害者の父母、配偶者及び子が加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうることは、民法七一一条が明文をもつて認めるところであるが、右規定はこれを限定的に解すべきものでなく、文言上同条に該当しない者であつても、被害者との間に同条所定の者と実質的に同視しうべき身分関係が存し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は、同条の類推適用により、加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうるものと解するのが、相当である。本件において、原審が適法に確定したところによれば、被上告人B1は、Dの夫である被上告人B2の実妹であり、原審の口頭弁論終結当時四六年に達していたが、幼児期に罹患した脊髄等カリエスの後遺症により跛行顕著な身体障害等級二号の身体障害者であるため、長年にわたりDと同居し、同女の庇護のもとに生活を維持し、将来もその継続が期待されていたところ、同女の突然の死亡により甚大な精神的苦痛を受けたというのであるから、被上告人B1は、民法七一一条の類推適用により、上告人に対し慰藉料を請求しうるものと解するのが、相当である。」

2015.03.14

家事従事者の休業損害に関する裁判例のご紹介 平成26年9月26日京都地裁判決

京都地裁平成26年9月26日判決 -自保ジャーナル1936号71頁

12級7号の後遺障害を残した58歳女性の家事従事者の休業損害について、京都地方裁判所は「原告の休業損害は、基礎収入額を、平成22年の賃金センサス産業計・企業規模計・女性労働者・学歴計・全年齢平均の345万9400円とし、本件事故(平成22年11月5日)から平成22年12月下旬までと入院期間中(42日)の合計90日については100%、同月下旬から平成23年2月末までの70日については50%、症状固定日(平成24年7月3日)までのその余の447日については14%を喪失したとして算定するのが相当であって、その金額は、177万7847円となる」と判断しました。

家事従事者(主婦)の休業損害については、この裁判例のように、賃金の統計を基礎に割合的・段階的に計算することが多く見られます。とはいえ、その計算式や認容額は担当裁判官や事案によってバラバラで、家事従事者の休業損害の計算基準はあってないような状態ですので、示談交渉でもしばしば相手方保険会社と対立が生じます。

2015.03.12

高次脳機能障害の裁判例のご紹介 平成26年10月29日東京地裁判決 

東京地裁平成26年10月29日判決 -自保ジャーナル1936号13頁

高次脳機能障害3級3号を残した78歳男性の付添介護費費用として、日額4000円が認定された裁判例です。裁判所が認定した日額4000円の根拠は「Aの症状の推移、後遺障害の程度(後遺障害等級表3級3号)及び付添の必要性の程度に鑑みると」「日額4000円の限度で近親者による随時の声掛け、見守り看護の必要があった」とされています。高次脳機能障害の事案では、この裁判例のように介護費用の日額が争点となることが多く、日常生活状況やご家族のサポートを適切に立証する必要があります。

また、この事件では、株式会社代表者の基礎収入についても判断が示され、会社の規模、株主構成、役員構成、従業員の有無及び数、経営実態に照らし、役員報酬年額の6割相当額が労務対価部分として判断されているのですが、会社代表者の基礎収入は交通事故の裁判でよく争いになる典型的論点で、この裁判例のように、案外ざっくりとした数値が認定される判断が散見され、被害者の方からするとすっきりしない印象を持たれることが多く、また、担当の被害者側弁護士としてもそう感じることが少なくありません。

2015.03.03

脊髄損傷に関するニュースに触れて

脊髄損傷で歩行が困難となった方のリハビリのため、歩行を支援するロボットが開発されているようです。

<報道>支援ロボで再び一歩 下半身まひの男性、就職内定

交通事故の裁判では、下肢の後遺障害のために手すりをつけるなど、自宅をリフォームした場合に家屋改造費として加害者側に損害賠償を請求することがあるのですが、加害者側保険会社が家屋改造の必要性や金額の相当性を争い、被害者と加害者で意見が対立することがよくみられます。残念ながら交通事故の実務はまだそんなレベルですから、交通事故の被害によって脊髄損傷の後遺障害を負った被害者の方が支援ロボの費用を加害者側に請求した場合、加害者側保険会社がこれを否定すべく争ってくることが予想されます。そんなときこそ、被害者側の弁護士が力を尽くし、被害者の方が少しでもスムーズに日常に復帰できるよう支援しなければなりません。

2015.03.02

医療に関するニュースのご紹介

<報道>iPS細胞から軟骨組織 京大、4年後にも臨床結果

交通事故で軟骨組織を損傷した場合、その回復には困難が伴います。今後の研究に期待です。

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山本・竹川法律事務所

弁護士 山本  明生

弁護士 竹川   聡

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☎06(4706)2345

大阪市中央区北浜2丁目1番3号北浜清友会館ビルディング。北浜駅から徒歩1分、淀屋橋駅から徒歩7分。大阪弁護士会所属。

当事務所HP http://ytlo.jp/